美術室に向かう途中の階段。
「なんでなの?花里」
「ん?名乗り出たこと?」
うん。
純粋に気持ち悪いんだけど。
ほぼ接点ないじゃん。納得のいく理由が欲しい。
隣を歩く花里は優しい目でこちらを見ている。
「ひかるくんに死んでほしくないから」
「別に仲良いわけでもないだろ」
「そんなこと言わないでよ。だったらこれから仲良くなればいい」
えー
なんか別の意図がありそうで怖いんだけど。
「一軍どものスパイとかだったりする?」
「あはは、なんだよスパイって。関係ないよ」
その整った顔を崩して笑う。
花里誠
柿田率いる一軍の男子。
栗毛色の癖毛と、整った女子みたいな顔立ちで人気者。
確かにそこらの女子より可愛い顔はしてる。
でも何考えてるか分かりづらいし、自分の特性を活かして他人に漬け込むのがうまそう。
なんとなく油断できない相手。
そいつがなんで僕に協力的なのかはわからない。
いや、そもそも協力する気があるかどうかもわからない。
この機会に僕を消そうとしている可能性もある。
「そんなに警戒しないでよ、ひかるくん」
いつのまにか美術室についていた。
中に入った途端、ガラッと扉を閉める花里。
いや…するだろ…
なんだ?恨みでもあるのか?
でも流石に花里より僕の方が力はあるでしょ。
もし襲ってきたらなんとか対抗しよう…
と思ってみたけれど、意外にも花里の身長は低いわけではなく、僕とほとんど同じくらいだ。意外にも大き…あ、違うか。僕が別に高くないのか。むしろ小柄な方か…。
き、気をつけよう。

