みんなが少しだけ明るい顔をして教室に戻ってくる。
こんな状況であっても協力して何かを成し遂げるということはやっぱり希望になる。
これが吉と出るか凶と出るか…
前者だといいけど。
「みんな、ちょっと聞いてくれ」
見慣れた光景だ。
片桐が教卓に手をついて話し出す。
「返信内容を考えよう」
山野の実行準備の際、僕と久遠さんと片桐の3人で話し合い、返信内容を気をつけてさえいれば死人を出さなくて済むという結論に至った。
こんなこと言うまでもないと思ってたけど
泳いだ、飛び降りた、が選出されている時点で確実におかしい。
みんなが簡単な言葉にしていればこんなに苦労することはないはず。
だから決めてしまえばいいということだ。
もし犯人が邪魔をしてくるようならその時はその時。
「『飛び降りた』なんて危険な言葉を使うのはよくない。もっと簡単に実行できるものじゃないと」
「…確かに誰かが『飛び降りた』にしたんだよね。そんなどう考えても危ない言葉入力するなんて…犯人なんじゃないの?」
中村蜜柑が鋭い目をクラスに向ける。
「その可能性は高い」
「『泳ぐ』もそうよ!難しいってわかるでしょ?もっとちゃんと考えてよ!」
中村は今日一日、教室で一人座っていた。山野にも非協力的だったし…
なんとなく彼女は男好きなイメージがある。
女の子の友達は特に思いつかないし、野々村が死んだことで大きく傷心しているのは間違いない。
精神的に不安定になっているのかもしれない。
とは言え…
こりゃ言い出しづらくなったな。
あとで山野に個人的に謝ろ。
そう。
『飛び降りる』を入力したのは他でもない
この僕だ。
実験したいことがあってわざとこんな言葉を選んだ。
クラスメイトも馬鹿ではない。危険な言葉をわざわざ入力するようなマネはしないだろう。
それなのになぜ『殴った』と『泳いだ』が選出されたのかを考えたんだ。
とにかく今回の僕の実験で分かったのは、言葉はランダムに選出されているのではなく、犯人が一つ一つの回答を見て選んでる可能性が高いってこと。
わざと過激な内容になるようにね。
おそらく『殴った』と『泳いだ』は多くの回答の中から犯人が一番過激なものを選んだつもりだったんだろう。
みんなが用心して入力しているから実行するのが簡単な内容ばかりだった。その中で少しでもゲームを難しくするために選んだのがあの言葉。
誰かが無効内容にならないよう絞り出した言葉があの二つで、見事それが選出されてしまったと言うわけだ。
だから難易度も微妙なんだ。
だがもし、この先あまりに難易度の高い言葉が選出されてくるようなら…
誰かが意図的にそういう言葉を入力している可能性を考えなければならない。
だから片桐に提案した。
もちろん僕が『飛び降りる』の入力者だってことは言ってないけど。
ある程度過激で、でも絶対クリアできるラインの言葉を『何をした』に入力する。
そうすればうまくいくかもしれない…ってね。

