むせかえるほどに、ひどく。

 血の臭いが、辺りに広がっていた。


 聖クレアの家の庭の真ん中に。

 死体の山が築きあげられ。

 その頂上に。

 全身を血で染め上げた、緑の瞳の獣が座っていた。

 左肩には。

 トリガーに指をかけたまま、愛銃を背負い。


 右手には。

 ピアスが山ほどついた男の生首を持っていた。

 髪の毛を握り。

 ぽとぽとと、流れ続ける血を全く気にせず。

 唇同士がくっつくかと思うほど近く、視線をあわせている。

「あは……
 それにしても莫迦なやつ。
 ぼく達のことを色々調べたみたいだけれど。
 うわさに頼って、ちゃんとしたデータをとらないから。
 こんな間抜けな失敗をするんだよ?」

 グリーン・アイズは、肉食獣の微笑みを見せた。

「現役時代に、ぼくが一度に殺した人数の最高記録を信用したら。
 こんな少人数で来ようなんて、思わなかっただろうに……
 おかげで、まだ殺し足りないよ?」


 血を。


 もっと、命を、ちょうだい?



 くす……ふふふふ


 そのとき。


 がちゃっ。



 と。



 かすかな音がして


 クレアの家の扉が開いた。


 凄まじい物音のあと。


 急に、静かになった外の気配と。

 楽しそうなグリーン・アイズの笑い声に。

 マリーが顔を出したのだ。