「まあ、だめよ!
 アフダル!
 あなたみたいな子が……」

「ぼくは、こどもじゃないよ」

 マリーの言葉を遮って、アフダルは。

 今まで抱いていたスィビャーを、そっと降ろして、立ち上がった。

 そして。

 マリーより、確実に。

 頭一つは高い背を少しかがめて、ささやく。

「しってる?
 シスター?
 じゅうは、ひきがねを引くだけじゃ。
 たまは、出ないんだよ?」

「……そんな……!」

 アフダルは。

 しっかり抱えていたはずのマリーから、小銃をあっさり奪いとると、微笑んだ。

「かえして?
 ぼくのじゅう。
 これは、シスターみたいな素人が、簡単に扱える代物じゃない」

 アフダルの中で、何かがゆっくりと変化した。

 禍々しい、とも言える、その美しい微笑みに。

 思わず、マリーとスィビャーがアフダルから一歩さがる。



「出て来い! 
 グリーン・アイズ!!!」




 外からの声に、アフダルは、軽く閉じた目を、開いた。


 はしばみ色の。

 なんとか『緑』と言えなくもない、茶色がかった緑の瞳を。



「……ああ。
 外でも、ぼくを呼んでいるじゃないか……」