「……それで?
 お前たちは、ウチの教会に、何の用だ?」


 雪は、いつの間にか止んでいた。

 低い雲が垂れ込む暗い空と。

 身を切るような冷たい風を供にして。

 ウルジュワーンが外に出たとたん。

 聖クレアの家を取り囲んだ、30名ほどの襲撃者達は、皆一瞬。

 ぎょっとして、身を引いた。

 ウルジュワーンの風貌に、気を呑まれたのだ。

 そんなことは、構わず。

 片目、片腕の神父は、淡々と言葉を紡ぐ。

「教会の扉は、いつでも、誰にでも開いている。
 腹が減り、飯が欲しいのならば、裏にまわって食え。
 遊びに来たなら、もう帰れ。
 迷惑だ」

 ウルジュワーンは、1人。

 ただ立っているだけなのに。

 ここにいるほとんどすべての人間を圧倒していた。

 銃を構えるのも忘れ。

 このまま。

 回れ右して帰りそうな仲間達に舌打ちして。

 リーダーらしき男が、割って入った。

 襲撃者の中で、一番若く。

 高価な服を着て。

 本物の宝石で作られたピアスや鼻輪をごてごてとつけた。

 襲撃者の中でも、一番イカレているように見えるやつが、ウルジュワーンにせせら笑った。

「誰がこんなところで、臭いメシなんざ食うかよ!
 俺達はこれでも、人さがしに来たんだぜぇ?」

 リーダーは、すぃ、と目を細めた。