「……天にまします我らの父よ……」

 ウルジュワーンの静かな声が、食堂に響いた。

 クレアの家に住む21人全員が、長い食卓を囲んで、頭を垂れていた。




 今日の食事に感謝を。


 新しい朝に祝福を。



 朝食のメニューに、ぶつぶつ文句を言ってた割には、ぐっと真面目に祈りを終えて。

 みんなで、さぁ、とスプーンを構えたときだった。





 だ、だ、だだだ!!

 チュイン、チュイン!!!!




 突然、空気がはり裂けた。

 機関銃の音が鳴り響いて。

 食堂の外に通じる扉に、風穴が開いた。



「……っ!
 くそったれ……!」

 生命をおびやかす危険な物音に、ウルジュワーンは、機敏に反応した。

 子ども達を全員食卓の下に避難させて、銃声の鳴った方向にある窓を、険しい顔でにらむ。


「なに?
 なに……?
 また……こわいこと?」

 長い間続いた、戦闘の記憶もまだ新しく。

 小刻みに震える、スィビャーを抱きしめて、アフダルはささやいた。

「だいじょうぶ。
 ふぁざーも。
 しすたーも。
 ぼくも、ついてるよ。
 しずかにしてれば、こわいことは、すぐおわるから……」