そのあと、じいちゃんと二人で一本の焼き芋を半分こにして食べた。

「じいちゃん」
 すっきりした心で、柚樹はじいちゃんに話しかける。晴れ上がった心の代わりに、瞼がどんよりもったり重たい。
 目、腫れてるんだろうな、と思う。あんなに泣いたのは、本当に久しぶりだ。

 ちょっと、ハズい。

「なんだ?」とじいちゃんが聞く。
 これを言うのは、もっとハズいけど。覚悟を決めて、伝える。

「ありがとう」

「……そういうんは、もぞがゆいからやめぇ」と、じいちゃんが眉をしかめた。照れ隠しのしかめっ面。照れるじいちゃんが面白い。

「そろそろ帰るか? 友達も待っとるじゃろ?」とそっぽを向きながらじいちゃんが言った。

(それって……柚葉のこと?)
「じいちゃん、見えてたの?」

「当たり前じゃろ。幽霊じゃあるまいし。それに海猿、山猿と呼ばれたじいちゃんの目をなめるなよ。年上の彼女か? お前もなかなかやるな」
 このぉ、と言いながら、じいちゃんがニヤリとする。

「ち、違うに決まってるだろ!」
「心配せんでもばあちゃんらには秘密にしといてやるから。土産に焚火イモ持ってけ。女は甘いもんでイチコロじゃあ」
「だから本当に違うんだってば!」

「そうかそうか」
 ニヤニヤするじいちゃんにパンチを繰り出すと「お、このじいちゃんとやる気か?」と、じいちゃんが笑った。