同居中の総長さま×4が距離感バグってます!

だけど、ふと頭にひらめいた。


『だったら、お前もちゃんと婚約者らしく俺を呼ぶんだな』


あのジェスチャーは、自分の名前を呼べと言っているんだ。

婚約者なら『無愛想男』なんかではなく、名前で。


今まで、男の子を名前で呼んだことなんてなかった。

ただでさえ抵抗があるというのに…。


だけど、今はそんなことを言っている場合ではない。


悔しいけど、この状況からわたしを助けてくれるのは――。

目の前にいるあの男…ただ1人だけ。


「たっ…、助けて!…藍!」


恥を忍んで、わたしは叫んだ。

すると、藍の口角がニッと上がった。


「紅羽さん。冗談はそれくらいでお願いします」


藍がわたしを抱きかかえる紅羽さんの腕をつかむ。


「ん?どうかした、藍?」

「それ以上するっていうのなら、青龍の全勢力をもって朱雀に喧嘩ふっかけますよ」