「で、なんでこんなところに上ってきたんすか」

「外歩いてたら、廊下にうみちゃんがいるのが見えたからさ。いても立ってもいられなくて」


紅羽さんが言う『うみちゃん』って、…わたしのことだよね?


「わたしに…なにか用ですか?」


あっ!

もしかして、昨日のお礼を言いにきたとか?


たしか、プールで溺れた紅羽さんを助けたってうみちゃんが言ってたし。


そう思っていたら――。


「用もなにも、うみちゃんはオレの彼女でしょ?」


………はい…?


わたしは目が点。

紅羽さんはというと、にんまりと微笑んでいる。


「…えっと。それは一体…どういう――」

「まさか、忘れたなんて言わないよね?昨日、オレとあんなことやこんなことしておいて?」


紅羽さんの色っぽい顔がわたしに近づいてくる。