同居中の総長さま×4が距離感バグってます!

一冴さんに裏切られたことへの。


これはなにかの間違いであってほしいと最後まで思っていた。

でもどうやら、間違いでもなんでもなかった。


一冴さんは藍を潰すため、わたしを利用した。

それだけが真実だ。


「一冴さん。楽しそうに笑ってますけど、その計画…そもそも破綻してますよ」

「はあ?」

「だって、藍にとってわたしは婚約者でもなんでもないですから」


わたしは一冴さんをにらみつける。


「なにをバカなことを」

「わたしは、藍に頼まれて婚約者のフリをしているだけのただの偽物です」


その話に、一冴さんの目尻がわずかに動く。


「…どういうことだ」

「そのままの意味です。わたしと藍に恋人同士という関係もなければ、恋愛感情もありません。つまり、わたしを攫ったところで藍にとっては痛くもかゆくもないんです」