同居中の総長さま×4が距離感バグってます!

「でも、さすがに今からはちょっと…な」

「あ…、すみません。用事でもありましたか…?」

「用事はないが、10年ぶりに会うとなると…心の準備がな」


苦笑いを浮かべる一冴さん。


…そうだよね。

いきなり今から会いましょう!は、さすがに無理やりすぎたよね。


「それに、こう見えてオレ、『紫龍』っていう暴走族の総長してんだ」


その言葉に、わたしははっとする。

思っていたよりも話しやすい人だったから、そのことをすっかり忘れていた。


でも『紫龍』は凶悪と聞いていたけど、その総長がこんなに穏やかな感じの人だとは思わなかった。

『凶悪』と言われているのも、勝手に噂がひとり歩きしてるだけじゃないのかな。


一冴さんを見ていたら、そんなふうに感じた。


「藍とは腹違いの兄弟だけど、敵対する暴走族の総長同士でもある。人前で仲よしこよしってわけにはいかないんだよ」