同居中の総長さま×4が距離感バグってます!

「じゃあ、そろそろ行くか」

「そうですね」

「藍〜!行くよ〜」


紅羽さんが手招きしている。


この習わしは、なにも総長が羽織り袴を着るだけではない。

その姿で学園を練り歩き、それぞれの暴走族に所属するメンバーを鼓舞する。


「それじゃあ、あとでな。そら」


藍はわたしの耳元でささやき頭をなでると、紅羽さんたちについていった。


みんなに聞こえないような声で、『そら』と呼んでくれる。

秘密の合言葉みたいで、わたしはうれしくてたまらない。


羽織り袴の四天王をひと目見ようと、麗帝の全生徒が集まって押し合うようにしてその姿を拝んでいた。

そこに入ってしまったらケガをしそうだったから、わたしは離れたところから様子をうかがっていた。


その中心にいる4人は、まるで人気アイドルグループかどこかの貴族のようだ。