同居中の総長さま×4が距離感バグってます!

振り解こうとするも、びくともしない。


お…おかしい。

藍には腕相撲で負けたことがないんだから、こんなのだって簡単に解けるはずなのにっ…。


必死に抵抗しようとしていたとき、朝の紅羽さんたちの言葉を思い出す。


『でも意外だね。あの女嫌いの藍が、女の子に手加減できるほどやさしいところがあるなんて』

『て…手加減!?』

『そうだよ。藍が腕相撲で女の子に負けるわけないからね。きっとうみちゃんのことを思って、わざと負けてるんだよ』


手加減なんて、藍がそんなやさしいことするはずないと思っていたのに――。

今の藍に対して、わたしの力は無力だった。


「他の女よりも力があるほうだからって自惚れんな。黙って俺に守られとけ。そうしたら、かわいがってやるよ」


そう言って上体を起こした藍は、何事もなかったかのように自分の部屋へと戻っていった。