神出鬼没の藍のお父さんのせいで、わたしは家に帰るに帰れない状況に。


家で1人で過ごしているうみちゃんのことが心配だったけど、そんなわたしの心配をよそに、うみちゃんもまた1人での生活を満喫しているよう。


「あれ!?愛しのうみちゃんがいる〜♪」


そんな声が聞こえて振り返ると、紅羽さんだった。


「おはようございます、紅羽さん」

「おはよ〜。あ、そのスコーンおいしいよね。オレにもちょーだい♪」


そう言って紅羽さんは、スコーンをフォークで刺していたわたしの手を取り、自らの口へと運んだ。


「く…紅羽さん…!」

「うん!おいひぃ〜」


まるでわたしが食べさせているみたいな予想外のシチュエーションに、わたしは戸惑って顔が赤くなる。


そんな紅羽さんに、冷たい視線を送る雪夜さん。