しかし、1時間たっても2時間たっても藍は帰ってこない。

時計を見たら、もう夜の8時を過ぎていた。


グゥ〜…


さすがにわたしのお腹ももう限界。


「藍、ごめんね。お先にいただきます…!」


藍に悪いとは思いつつも、わたしは寿司桶を前にして手を合わせた。


「ん〜!おいひぃ〜!」


一番初めに口へ運んだ大トロは、あっという間に溶けてなくなってしまった。

トロでさえもなかなか食べたことがないのに、こんなにおいしい大トロが食べれて幸せすぎる。


わたしはペロリと10貫あった握り寿司を食べてしまった。


「ごちそうさまでした」


わたしが再び手を合わせたとき、玄関で物音がした。


「あ〜…、腹減った」


どうやら藍が帰ってきたようだ。


「藍、おかえり」

「ただいま。…そういえば、寿司の出前こなかった?」