目の前には、おいしそうなお寿司たちが行儀よく並ぶ寿司桶が2つ。

お寿司のネタはどれも(つや)があって光って見えて、マグロはルビー、ホタテはパールのようにまるで宝石みたい。


これが…特上握り。


思わず、口の中がよだれであふれる。


いつも外か食堂で夜ごはんを済ませる藍。

出前を頼むなんて初めてのこと。


もしかして、藍のお父さんの寮見学を無事に乗り切ることができたから…そのお祝い!?

お寿司を2人前頼むってことは、そういうことだよね?


本来、藍は今日の夜は部屋にいるはずだった。

だけど、1時間ほど前に急遽青龍の集会をすることになったとかで出かけていった。


せっかく藍が頼んでくれたんだし、わたしだけ先に食べるのはよくないよね。


今すぐにでも食べたい気持ちを抑えて、わたしは藍が帰ってくるのを待った。