同居中の総長さま×4が距離感バグってます!

「な、なに?」

「行くぞ」

「行くって…どこに?」


まだ状況が把握できていないというのに、藍はわたしの腕をつかんだままその場から連れ去った。


「着いた」


そう言って藍が立ち止まったのは、レンガ造りの大きな洋館の前。


ここは、麗帝学園の敷地内にある寮。

入寮届けを出せば、だれでも寮に入ることができる。


わたしは家から通っているから寮には縁がなく、校舎の窓から遠目に見たことがあるくらいだったけど――。

この寮が…どうかしたの?


「ほら」


寮を見上げてぽかんとするわたしに藍が差し出したのは、なんの変哲もないシルバーのカード。


「これ…なに?」

「この寮の俺の部屋のカードキー」

「どうして、藍の部屋のカードキーをわたしに?」


いくら婚約者のフリだからって、べつに部屋のカードキーまでは必要ないと思うんだけど。