はぁ……。

あの時からずっと、この紙の意味分かんなかったんだよね。

友達に見せても先生に見せても、文章がちょっとおかしいくらいで特に変わったことは見つからなくて。


うーっ。

一五〜!!

寒いよー。

身も心も凍えそうだよー。


放置しすぎだよ……。



「こっの、雪男のばっかやろーっ!!」



私は久々に海に向かって叫んでいた。

さっき私が勝手に名付けた一五のネーミングで。


んふふ、やっぱ気持ちいいかも。

よ〜し、
もういっ……か……い……?



「えっ……!?」



このふんわりとして体が冷たくなる感覚。

それなのに温かくなる体。

耳元で聞こえる微かな息遣い。


ねぇ……?

そうだよね?



「一五?」



私は後ろから優しく抱き締めてきた人が一五だと確信しながら、恐る恐る振り返って見た。



……変わらない、ね。

当たり前よね。

一年しかたってないんだし。


けど、長かったよ。

もぅもぅ……バカ〜ッ!!



「クスクスッ。相変わらずひいらぎは面白いなー」



あの日と同じ。

初めて会った時に着ていた白いダウンジャケットに黒いパンツ。

金髪に白いメッシュ。

やっぱり、ヤンキー?
って思わせるような身なりだけど、クシャとして見せる極上の笑顔。


涙腺が緩んだ私はボロボロと涙が零れ落ちるほど泣きながら、体をくるっと正面に向き直して一五の体に抱きついた。


両手を背中にまわして、きつく抱き締める。



「会いたかったよ〜、一五〜」



鼻水まで出てきそうになって声は擦れるし、涙でそれ以上言葉が出なかった。


やっと、やっと会えた……。



「ねぇひいらぎ、いちごって?」



そんな声がして、片手に握ったままだった紙をピラピラとさせて彼に渡した。

体はぴったりくっつけたまま。


そして少しの沈黙の後、予想もしていないことが起きた。



「アハハハハッ!! だから、一五ね〜!!」