それはまだ気持ちが固まっていないという意思表示に思えた。実際、菊乃はわずかに俺から距離を取った。
嫌われているわけじゃない。俺の熱い想いほどじゃないが、菊乃の中には俺への感情がある。それが夜の暗闇の中で静かに伝わってくる。
俺は意を決して彼女に告げた。
「菊乃、今度のコンサートできみにも色々と手を借りることがある」
話が変わったせいか、菊乃がきょとんとした顔になる。俺は構わず続けた。
「来月のコンサートが終わったら、結婚式や……きみとのこの先について話をしたい。いいか?」
俺の問いに、暗闇の中で菊乃の目が潤むのがわかった。拒否ではない。嬉しそうに細められた目と笑顔で、俺は胸が熱くなった。
「はい。私もお話がしたいです」
「まずは、来週末、会食の同席を頼みたい」
「はい! 私、博已さんの役に立てるように頑張りますからね」
そう言って、菊乃は再び俺の腕の中に飛び込んできた。自分から距離を取ったのに、また無邪気に飛びついてきて。俺の理性はそろそろ限界だが、菊乃と未来への約束ができたことが嬉しかった。
「ほら、眠ろう。おやすみ」
ぎゅっと抱きしめ、もう一度額にキスをすると、菊乃は嬉しそうに笑い自分のスペースに戻って行った。
俺たちの契約婚は、新たなステップに進めるかもしれない。だって、腕には菊乃の温度が残っている。心には菊乃の気持ちが染みている。
嫌われているわけじゃない。俺の熱い想いほどじゃないが、菊乃の中には俺への感情がある。それが夜の暗闇の中で静かに伝わってくる。
俺は意を決して彼女に告げた。
「菊乃、今度のコンサートできみにも色々と手を借りることがある」
話が変わったせいか、菊乃がきょとんとした顔になる。俺は構わず続けた。
「来月のコンサートが終わったら、結婚式や……きみとのこの先について話をしたい。いいか?」
俺の問いに、暗闇の中で菊乃の目が潤むのがわかった。拒否ではない。嬉しそうに細められた目と笑顔で、俺は胸が熱くなった。
「はい。私もお話がしたいです」
「まずは、来週末、会食の同席を頼みたい」
「はい! 私、博已さんの役に立てるように頑張りますからね」
そう言って、菊乃は再び俺の腕の中に飛び込んできた。自分から距離を取ったのに、また無邪気に飛びついてきて。俺の理性はそろそろ限界だが、菊乃と未来への約束ができたことが嬉しかった。
「ほら、眠ろう。おやすみ」
ぎゅっと抱きしめ、もう一度額にキスをすると、菊乃は嬉しそうに笑い自分のスペースに戻って行った。
俺たちの契約婚は、新たなステップに進めるかもしれない。だって、腕には菊乃の温度が残っている。心には菊乃の気持ちが染みている。



