エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】

博已さんは珍しく困った顔をし、拳を口元にあて悩んでいた。それからこちらを見る。

「菊乃、きみは嫌じゃないか? 俺と眠るのは」
「いっ嫌じゃないです! ほら、毎日ハグもしてますし! 慣れているというか、博已さんといると外国でも安心っていうか!」

なんだか必死に聞こえていないだろうか。私ばかりが一緒に寝たい感じになってしまっていない?

「博已さんが嫌なら、私、リビングのソファに移動します。ソファは大きいし、私は身体も小さいし」
「そんなことしなくていい」

博已さんは低い声で言ったあと、ぼそりと付け足した。

「嫌なわけないだろう。菊乃と寝るのが」

それはどういう意味だろう。聞きたいけれど聞けない。恥ずかしくて顔が赤くなって、口がぱくぱく空振りしてしまう。

「少し休むんだ。出かける一時間前に起こすから」

そう言って博已さんは寝室を出て行った。私は真っ赤になったまま、ベッドにぼすんと身を投げ出す。

「勘違いしちゃうよ、博已さん……」

今夜から一緒に眠るのだと思うと、頭がパニックになりそう。だけど同じくらい拒否されなかったことが嬉しかった。
こんな気持ちじゃいけないのに。