エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】

両親との通話が終わった。私はふうと息をつき、ソファの背もたれに身体をあずけた。

「博已さん、ありがとうございます。博已さんのおかげで両親と話せました」
「俺は何もしていない。菊乃が自分で説明できただろ」

私は首を振る。

「私、間違ってました。両親は伯父の家と揉めることより、私が悪いことをする方がつらいんですよね。もっと早く話すべきでした」
「俺も顔合わせの機会がもらえてよかったよ」

博已さんは本当に優しい。トラブルに巻き込まれている形なのに、一緒に解決しようと動いてくれる。するとまたスマホが振動をし始めた。
画面を見て驚いた。
伯父の名前があったからだ。

「菊乃?」
「伯父から電話です」
「ご両親がもう連絡をしたのかもしれない。出た方がいい」

それにしては早いような気もするけれど、私はスマホを手に取った。

「もしもし、菊乃です」
『菊乃、おまえは今どこにいる』
「え……あの、友人の家に」
『これから近くに行く。会って話せるか?』

伯父の口調は焦っているようにも聞こえる。

「伯父さん、なんの御用ですか。私がそちらにいきましょうか。」

もしかして今更だけど、例の件を警察沙汰にするなどと言うのだろうか。それなら私は受けて立つけれど、伯父の様子はなんとなく違う。

『いや、俺と伯母さんで行くから』

伯父の大きな声がスピーカーにしなくても聞こえていたのだろう。博已さんが横でささやいた。

「このマンションの住所を教えていい。ここに来てもらおう」

自分も同席するという意味だ。私は頷き、伯父に友人の家にきてほしいという旨を伝えた。