エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】

「いつまでもお父さんとお母さんに話せなくてごめんなさい。伯父さんの家と揉めたら困ると思って言えなかった」
『菊乃』

困惑と驚愕の表情で話を聞いていた両親が私の名を呼んだ。

『わかった。おまえを信じる。伯父さんには私から連絡をするし、近いうちに飛行機を取って東京に行く。皆で話そう』

父の言葉に涙が出そうになった。やはりもっと早くこうすればよかったのだ。

「お父さん、お母さん、迷惑をかけてごめんなさい」
『迷惑じゃないわよ』
『おまえがひとりで追い詰められていたのに、私たちに言えなかったのはこちらの責任だ。伯父さんの家にはずっと世話になっていたからな。気を遣ってしまったんだな』

父が肩を落として言って、それから博已さんの方を向き直った。

『先ほどは失礼しました。加賀谷さんとおっしゃいましたね。娘がつらいときにありがとうございました。そちらに夫婦で参りますので、ご挨拶させてください』
「こちらこそ、ご挨拶をさせてください。菊乃さんとの結婚の話を進めたいと考えております」

両親はようやく『結婚』の文言が耳に届いたようだ。ふたりそろって目を丸くしたあとに、頭を下げた。

『ありがとうございます』