「ゴールデンウィークは混むだろうから、その前後で計画したい。菊乃の家まではどう行くのが一番いいいかな」
「博已さん、その前になんですが」
私は言い淀んでから、告白する。
「まだ、両親に伯父の会社を辞めたことを言えていないんです。すみません」
「なるほど」
博已さんは言葉を切って、じっと私を見つめる。
「菊乃の気持ちはわかる。事情が事情だけに、いいづらいよな」
すぐに受け入れてくれる博已さんは大人だ。だけど、私自身は甘えていてはいけないのだとも思う。
「うちの実家、伯父には本当にお世話になっているんです。伯父はひとりで上京して、婿入りした家で、新たな事業を展開して会社を大きくした人です。亡くなった祖父母の介護費用や、私の実家の新築費用もかなり助けてもらったようで。私がこんなことになったと知ったら、父がどんな反応をするかわからなくて」
「お父さんにとっては兄にあたるのか。それでも、菊乃の言い分を信じてくれるんじゃないか?」
「だといいんですが、それでも伯父との関係は悪くなってしまうと思うんです」
そのとき、ダイニングテーブルに置いた私のスマホが振動し始めた。着信のようだ。
液晶画面を見ると母の名前が表示されている。ぎくりとした。なんてタイミングだろう。しかし無視もできない。
「もしもし」
おそるおそる出ると、聞こえてきた母の声はもう切羽詰まっていた。
『菊乃? 伯父さんのところを辞めたってどういうことなの?』
「博已さん、その前になんですが」
私は言い淀んでから、告白する。
「まだ、両親に伯父の会社を辞めたことを言えていないんです。すみません」
「なるほど」
博已さんは言葉を切って、じっと私を見つめる。
「菊乃の気持ちはわかる。事情が事情だけに、いいづらいよな」
すぐに受け入れてくれる博已さんは大人だ。だけど、私自身は甘えていてはいけないのだとも思う。
「うちの実家、伯父には本当にお世話になっているんです。伯父はひとりで上京して、婿入りした家で、新たな事業を展開して会社を大きくした人です。亡くなった祖父母の介護費用や、私の実家の新築費用もかなり助けてもらったようで。私がこんなことになったと知ったら、父がどんな反応をするかわからなくて」
「お父さんにとっては兄にあたるのか。それでも、菊乃の言い分を信じてくれるんじゃないか?」
「だといいんですが、それでも伯父との関係は悪くなってしまうと思うんです」
そのとき、ダイニングテーブルに置いた私のスマホが振動し始めた。着信のようだ。
液晶画面を見ると母の名前が表示されている。ぎくりとした。なんてタイミングだろう。しかし無視もできない。
「もしもし」
おそるおそる出ると、聞こえてきた母の声はもう切羽詰まっていた。
『菊乃? 伯父さんのところを辞めたってどういうことなの?』



