「いいスタッフに恵まれていたね、菊乃は」
並んで歩きながら博已さんが言う。
「へへ、そうなんです。今日は会えなかったメンバーも、みんないい子ばかりで、私は本当に恵まれていました」
「咄嗟に話を合わせてくれてありがとう」
契約結婚とは言えないので、博已さんが私を好きだったという設定にした件だ。私は苦笑いで答えた。
「ごまかしが下手でごめんなさい。ちゃんと恋人らしくできていたか不安です」
「充分だったよ。なにしろ、俺たちは交際二週間程度の間柄という設定なんだから」
確かにそうだ。博已さんにプロポーズされてからまだそれほど経っていないのだから。
「まあ、お互いの両親に会うときはもう少し親しげに見せた方がいいかもしれない」
「ですね。さすがに結婚しますってふたりがよそよそしかったら変ですよね」
私が笑って答え終わる前に、博已さんの左手が私の右手を取った。そのままぎゅっと握られる。
「手をつなぐ、くらいはしてみようか。嫌かい?」
遠慮がちな言葉に私は狼狽しながらもコクコクと頷いた。
「嫌じゃないです。旦那様ですもの。あは、あはは。」
ものすごく恥ずかしいのと、うかがうような博已さんの顔がちょっと可愛いのとで私の心臓はずっと大きな音で鳴り響き続けていた。
並んで歩きながら博已さんが言う。
「へへ、そうなんです。今日は会えなかったメンバーも、みんないい子ばかりで、私は本当に恵まれていました」
「咄嗟に話を合わせてくれてありがとう」
契約結婚とは言えないので、博已さんが私を好きだったという設定にした件だ。私は苦笑いで答えた。
「ごまかしが下手でごめんなさい。ちゃんと恋人らしくできていたか不安です」
「充分だったよ。なにしろ、俺たちは交際二週間程度の間柄という設定なんだから」
確かにそうだ。博已さんにプロポーズされてからまだそれほど経っていないのだから。
「まあ、お互いの両親に会うときはもう少し親しげに見せた方がいいかもしれない」
「ですね。さすがに結婚しますってふたりがよそよそしかったら変ですよね」
私が笑って答え終わる前に、博已さんの左手が私の右手を取った。そのままぎゅっと握られる。
「手をつなぐ、くらいはしてみようか。嫌かい?」
遠慮がちな言葉に私は狼狽しながらもコクコクと頷いた。
「嫌じゃないです。旦那様ですもの。あは、あはは。」
ものすごく恥ずかしいのと、うかがうような博已さんの顔がちょっと可愛いのとで私の心臓はずっと大きな音で鳴り響き続けていた。



