「あ~、楽しかったぁ! 博已さん、結婚式してよかったですね!」
「ああ、俺もそう思っていたよ。菊乃と夫婦になったときは、一緒にいられるだけでよかったけれど、今日きみの美しい姿を見て記念を残せてよかったと思う」

菊乃が俺を見上げて、ふふと笑った。

「博已さん、最初にあった頃より、もっともっと表情が豊かになって、もっともっと優しく笑うようになりましたね」
「そうか? たぶん、菊乃の前だけだよ」
「博已さん、私のこと、大好きですもんね」

挑発的ないたずらっこの笑顔に、俺は照れながらうなずいた。

「ああ、きみのことしか考えられないくらい大好きだ」
「えへへ、言わせてしまいました。私も博已さんが宇宙で一番大大大好きです」
「なあ、菊乃」

俺はずっと考えていたことを口にする。言わなくてもいいかとも思ったが、菊乃はきっと俺だけで抱えているのは好まないだろう。

「子どものことは考えているか?」

菊乃は目を丸くし、それからゆっくりとうなずいた。

「実を言うと、ちょっとだけ考えていました。博已さんと私、年が離れているから、博已さんは意識するんじゃないかなって」
「俺は正直、いてもいなくてもいい。お互いの両親は孫が産まれれば喜ぶだろうが、そのために子どもを作らなくてもいいだろう。俺は、菊乃の意志が聞きたい」
「えっと、じゃあ正直に言いますね」

菊乃は俺の手に自分の手を絡め、見上げてきた。