次に目覚めたときは、白い天井が見えた。全身が痛くて身体が動かせないが、前腕に点滴が刺さっているのが常夜灯の灯りでもわかった。ここは病院だろうか。
「博已さん、気が付いた?」
首をめぐらせると、ベッド横の椅子から腰を浮かせ菊乃が俺を覗き込んでいる。彼女も座った姿勢で眠っていたのかもしれない。目が腫れぼったい。
「菊乃、……俺は倒れたのか」
「そう。扁桃腺が腫れて、高熱が出ていたみたいです。疲れて免疫が落ちたんだろうってお医者様が」
菊乃は現在までの経緯を簡単に説明してくれた。大使館前で倒れた俺は病院に運ばれ、すぐに菊乃が呼ばれたそうだ。俺の病状について医師から説明を受けた菊乃は、俺が目覚めたときにそばにいたいと無理を言って病院に居残ったそうだ。
「こんないい方はあれですけど、すぐに見つけてもらえるところで倒れたのはよかったですよ。誰もいないオフィスで意識を失ったら、危なかったです」
「すまない……菊乃……」
「博已さん、最近すごく忙しそうだったから。これはゆっくり休めってことですよ」
俺の胸に布団をかけなおし、菊乃は聖母のように微笑んだ。
「まずは寝ましょう」
呪文のように響く菊乃の声。ゆるやかな眠気が再び襲ってきた。
薄れゆく意識の中で、明日のクリスマスディナーのことを考えた。せっかくの菊乃とのデートなのに、おそらく明日は難しいだろう。それが悔しくてならなかった。
「博已さん、気が付いた?」
首をめぐらせると、ベッド横の椅子から腰を浮かせ菊乃が俺を覗き込んでいる。彼女も座った姿勢で眠っていたのかもしれない。目が腫れぼったい。
「菊乃、……俺は倒れたのか」
「そう。扁桃腺が腫れて、高熱が出ていたみたいです。疲れて免疫が落ちたんだろうってお医者様が」
菊乃は現在までの経緯を簡単に説明してくれた。大使館前で倒れた俺は病院に運ばれ、すぐに菊乃が呼ばれたそうだ。俺の病状について医師から説明を受けた菊乃は、俺が目覚めたときにそばにいたいと無理を言って病院に居残ったそうだ。
「こんないい方はあれですけど、すぐに見つけてもらえるところで倒れたのはよかったですよ。誰もいないオフィスで意識を失ったら、危なかったです」
「すまない……菊乃……」
「博已さん、最近すごく忙しそうだったから。これはゆっくり休めってことですよ」
俺の胸に布団をかけなおし、菊乃は聖母のように微笑んだ。
「まずは寝ましょう」
呪文のように響く菊乃の声。ゆるやかな眠気が再び襲ってきた。
薄れゆく意識の中で、明日のクリスマスディナーのことを考えた。せっかくの菊乃とのデートなのに、おそらく明日は難しいだろう。それが悔しくてならなかった。



