「いや。離れたくない。博已さんが私を嫌じゃないなら、そばに置いてください。ずっと一緒にいたい」
「嫌なわけがないだろう。ずっとずっと菊乃が好きだった。きみが弁当屋の店長だった頃から、片想いしていたんだ。きみが困っているところにつけ込んで、きみの夫の座を手に入れた。きみに逃げられたくなくて、自分の本当の任務を隠してイタリアまで連れてきた」
「博已さん……そんなに前から」
尋ねかけた言葉はキスでふさがれた。初めてのキスだった。
柔らかく重ねられたキスはすぐにお互いの唇の輪郭を溶かしてしまうほどに激しくなる。
「や、博已さん」
「ごめん、きみは初めてなのに」
唇を離してささやく彼だけれど、その瞳も唇も名残惜しそうで、胸が甘くうずく。
「何があってもきみを守るから、俺の妻としてイタリアに残ってくれるか?」
「ええ。隣にいさせてください」
甘く重なった二度目のキスは誓いのキスだ。もう離れない約束。
「ここから先は、契約結婚じゃない。本当の夫婦として、きみに接する」
「そうして。本当のあなたの妻になりたい」
博已さんが私を引き寄せ、いきなり横抱きに抱き上げた。驚く間もなくベッドに運ばれる。
優しくシーツにおろされ、言葉を封じるようにキスされた。舌を絡め、唇を食まれ、力がどんどん抜けていく。
ふにゃふにゃと腰砕けになった私を、博已さんが戸惑いと欲をはらんだ瞳で見下ろした。
「若者のようにがっついて格好悪いよな。嫌だったか?」
「格好悪くないし、嫌じゃないです。博已さんは全部格好いいんです」
とろけた目で見つめ返す私はきっと彼の欲を煽っている。もっと煽りたい。求めてほしい。こんな気持ち知らない。
「博已さん、好き」
シーツに沈み、きつく抱き合う。幸せと興奮でどうにかなってしまいそうだった。
その晩、私たちは結ばれた。全身余すところなく彼の口づけをもらい、何度となく気が遠くなるような一瞬をもらった。
「ずっとこうしたかった」
熱を帯びた声でささやく博已さんにしがみつき、私は幸福な酩酊感とともに意識を手放した。
「嫌なわけがないだろう。ずっとずっと菊乃が好きだった。きみが弁当屋の店長だった頃から、片想いしていたんだ。きみが困っているところにつけ込んで、きみの夫の座を手に入れた。きみに逃げられたくなくて、自分の本当の任務を隠してイタリアまで連れてきた」
「博已さん……そんなに前から」
尋ねかけた言葉はキスでふさがれた。初めてのキスだった。
柔らかく重ねられたキスはすぐにお互いの唇の輪郭を溶かしてしまうほどに激しくなる。
「や、博已さん」
「ごめん、きみは初めてなのに」
唇を離してささやく彼だけれど、その瞳も唇も名残惜しそうで、胸が甘くうずく。
「何があってもきみを守るから、俺の妻としてイタリアに残ってくれるか?」
「ええ。隣にいさせてください」
甘く重なった二度目のキスは誓いのキスだ。もう離れない約束。
「ここから先は、契約結婚じゃない。本当の夫婦として、きみに接する」
「そうして。本当のあなたの妻になりたい」
博已さんが私を引き寄せ、いきなり横抱きに抱き上げた。驚く間もなくベッドに運ばれる。
優しくシーツにおろされ、言葉を封じるようにキスされた。舌を絡め、唇を食まれ、力がどんどん抜けていく。
ふにゃふにゃと腰砕けになった私を、博已さんが戸惑いと欲をはらんだ瞳で見下ろした。
「若者のようにがっついて格好悪いよな。嫌だったか?」
「格好悪くないし、嫌じゃないです。博已さんは全部格好いいんです」
とろけた目で見つめ返す私はきっと彼の欲を煽っている。もっと煽りたい。求めてほしい。こんな気持ち知らない。
「博已さん、好き」
シーツに沈み、きつく抱き合う。幸せと興奮でどうにかなってしまいそうだった。
その晩、私たちは結ばれた。全身余すところなく彼の口づけをもらい、何度となく気が遠くなるような一瞬をもらった。
「ずっとこうしたかった」
熱を帯びた声でささやく博已さんにしがみつき、私は幸福な酩酊感とともに意識を手放した。



