「どうしたの? 朝から痴話喧嘩?」


 そう声を掛けてきたのは彩だった。

 夏菜子は動揺を隠せない。

 藍は何も気に留めていないようだ。


「ねぇ、藍くん、たまにはあたしと話そうよ。聞きたいことが沢山あるんだ、あたしの席まで来てよ」


 そう言うと藍の手を引いて彩の席へ連れて行こうとする。




「いや、夏菜子の傍から離れたくないんだけど」




「本当に三好さんが好きなのね。ねぇ、どうしたらあたしも好きになってくれる?」


 そう言って藍の口元に顔をよせる渡邉。






「教えてくれないなら、あたしからキスしちゃおうかな。

 それとも、昨日の話を実行しちゃおうかしら」






 その言葉を聞いて、一歩足を引く藍。

 ふるふると首を振る夏菜子の表情を見てため息を一つつく藍。

「分かったよ、何が聞きたいんだ?」


 その返事を聞くや否や彩は藍の腕を引いて自席に行ってしまった。