午前零時ーーー多くの人が夢の世界に旅立つ中、数人の人物が地下室らしき大きな部屋に集まり、分厚い本を片手にブツブツと何かを呟いていた。全員真っ黒なローブに身を包んでいるため、一見すると宗教の儀式のように思える。

「では、全員杖を構えて」

全員と同じ黒いローブに身を包んだ一人の男性が重々しい空気の中、細長い木の棒のようなものを取り出して壁に向かって構える。男性と同じように他の人々も木の棒のようなものを取り出し、壁に向ける。

「いいかい?みんな同時に呪文を言わないと、今までやって来た全てのことが無駄になる。一、二の三で呪文を言うんだよ」

部屋をぼんやりと照らす蝋燭の明かりが、男性の顔を照らす。顔にできた大きな傷が明かりによって浮かび上がり、黄金色の瞳がギラリと不気味に輝く。

「呪文は覚えてるよね?」

男性が訊ねると、全員がコクリと頷き男性と同じように壁に向かって木の棒のようなものを向ける。