今日は朝からずっと雨が降っています。 やみそうにありません。
そこへ傘をさした女の人が歩いてきました。 何か悲しそうです。
「何でなんだろうなあ、、、あれだけ仲良くしてたのに急に振られるなんて、、、。」
 何が有ったんでしょうか? もう夕方です。
薄暗くなってきた交差点まで来た時、風が吹いてきて傘を飛ばされてしまいました。
 女の人は頭からずぶ濡れになってしまいました。
でも何処からか美味しそうな匂いが、、、。
 キョロキョロしていると可愛い看板のパン屋さんを見付けました。
(よかった。 せめて雨宿りだけでも、、、。)
そう思って扉を開けた女の人はびっくり。
楽しそうな笑い声が聞こえてきたではありませんか。

 よく見ると可愛い顔をした3匹の豚猫がテーブルの上で踊っているではありませんか。
それを見ながらみんなは笑っていたのです。
 「お姉さんもどうですか?」
恋「れん」ちゃんが女の人を誘いに来ました。
 「みんなで一緒に踊りましょうよ。」
恋ちゃんが一緒になって踊り出しました。
それをじっと見詰めていた女の人も我慢できなくなったのでしょうか。
自分から輪の中に飛び込んで踊り始めたのです。
 それを見ていたおじさんがエクレアを持ってきてくれました。
「願い事を言いながらこれを食べるといいよ。」「ほんとに?」
「そう。 次の日には願い通りになっているよ。」 おじさんは優しく教えてくれました。
「もし叶うならあの人とやり直したいんだ。」 女の人は泣きそうな顔でエクレアを食べました。

 次の日の夕方、女の人がまた訪ねてきました。 「どうしたんですか?」
優しく聞いたおじさんに「実はね。」って嬉しそうに女の人は話し始めました。
 朝、職場に行った時のことです。 「おはよう!」
昨日、喧嘩して別れたはずの男の人が明るく声を掛けてきたんです。
「何か有ったんですか?」 女の人はよそよそしい目でその人を見ています。
「実はさ、、、謝りたくて。」 「何を?」
「昨日、あれだけひどいことを言ってしまったから、、、。」 「謝ってどうするんですか?」
「もう一度、君とやり直したいんだ。」 「本気なんですか?」
「本気だよ。」 そこまで言われて仲直りしちゃったって言うんです。
 「あんまりにも寂しそうだったからエクレアをあげたんです。 よかったよかった。」
恋ちゃんも隣で泣きそうな顔をして喜んでくれました。
「お金を、、、。」 「いやいや、お姉さんが喜んでくれてるからそれだけでいいよ。 ありがとうね。」
あの豚猫君たちも楽しい踊りで女の人を見送ってくれたのでした。