次の日、今度はサラリーマンらしい男の人が歩いてきました。 何か悩んでいるようですね。
溜息を吐いてはブツブツ言っています。
 「どうせさあ、俺なんて何にも出来ないんだよ。 頭も悪いしもてないし、、、。
こんなんだったらさあ、俺なんて死んだほうがいいんだよ。)
 道路沿いの側溝に唾を吐いてはまた歩き出します。
 ちょうどパン屋さんの前を通った時のこと。 またまたドアが開きました。
中からにぎやかな音楽が聞こえてきます。 「何だろう?」
男の人は首をかしげながら中を覗き込みました。
するとどうでしょう?
 大きなテーブルの上では同ナッツの妖精が楽しそうにおどっているではありませんか。
 「何か楽しそうだ。」 男の人は悩んでいたことも忘れてお店の中へ飛び込んでいきました。
 「いらっしゃあい。 いらっしゃあい。 あなたも一緒におどりましょう!」 ピエロのようなおじさんが呼びかけてきます。
「何か分からないけど楽しい。」 ついにはがまんできなくなったのか、男の人も一緒におどり出しました。
 「そうです。 そうです。 みんな悩みながらそれでも懸命に頑張ってるんです。 あなただっていいことが必ず有ります。 つらいことはこの店に置いて行ってくださいな。」
おじさんはニコニコしながらティーパックを男の人にくれました。
「嫌なことが有ったらこれを飲んでくださいね。 きっとすっきりするでしょう。」 「そうなのか、、、。」
「飲んでみてください。」 そこへ心ちゃんが一杯の紅茶を出してくれました。
 虹のような菫のような、淡い色の紅茶です。 男の人は勧められるままに飲んでみました。
 すると、、、あれだけ悩んでいたはずなのになんかうれしくなってきたのです。
「良かった。 良かった。 これであなたも幸せになれます。 自信を持ってくださいね。」
心ちゃんはそう言うと笑顔で男の人を送り出してくれました。