わたしが指差した輪投げの景品のおもちゃの指輪に、まっすぐかっちゃんが投げた輪っかが飛んでいく。
 とれますように。
 わたしは心からお願いしてた。
 かっちゃんに輪投げを成功してもらいたい気持ち。
 かっちゃんからおもちゃだけど指輪をもらいたいなって、わたしの気持ち。

「やったあっ!」
「やったあ」

 かっちゃんが投げた輪投げの輪っかは私が欲しいって言った指輪を包むようにしっかり向かって落ちた。

「おめでとう。ほら景品だよ」
「ありがとうございま〜す」

 ニコニコした輪投げの屋台のおじさんから、かっちゃんがおもちゃの指輪を受け取った。

「はい、どうぞ。取れたんだよ、俺すごいよね? 結《ゆい》のものだよ。つけてみる?」
「うんっ! かっちゃん、すごいよ。……ありがとう」

 かっちゃんがわたしの左手をすくい上げるようにしてから、きゅっと掴んだ。

 かっちゃんの手に触れられて、わたしはすっごく恥ずかしくなってきちゃった。

 息が止まりそうなぐらいドキドキしてきて、顔が熱くなっちゃう。

 かっちゃんがわたしの左手の小指にはめてくれたら、ピッタリだった。

 嬉しい!
 ……すごく嬉しい。

「ありがとっ! かっちゃん。だいじにするね」

 かっちゃんが照れて笑う。

「えー。しかし結はそんなんで良かったの〜? 俺もう一回輪投げやろうかな〜」

 ありがとう。
 かっちゃん。
 わたしね、すごく嬉しいの。