今日の晩御飯はお母さん特製のわたしが大好きな煮込みハンバーグだ。

 いつもならお代わりしたくなるぐらい美味しいのに……。

 お腹が空いてるはずなのに、ご飯が喉を通っていかない。

 わたしは『かっちゃん大好きだよ』が溢れちゃいそうにいっぱいで。
 なんだか、ご飯が入らないんだ。

 お父さんは残業で遅くなるみたい。

「あれ? 結《ゆい》は今日は食欲ない? 風邪かしら?」

 少し晩御飯を残してしまった。

「ううん。お母さん、大丈夫。お風呂の時間までわたし、お部屋で本読んでるね」

 お母さんは心配そうだった。

 だってね。
 大好きなハンバーグがどうやっても胸がいっぱいで入らなかったんだ。
 今日はかっちゃんのことばかり考えたからか、胸のあたりがいつもより苦しくて。

 でも……。
 かっちゃんは誰のことが、好きなんだろう?

 わたしはかっちゃんの顔を思い浮かべて、考えるだけでやっぱり胸が苦しくて。
 ぎゅっとなる。
 痛いぐらい。

 今日もさっきまで会っていたのに、また早く会いたい。

 早くかっちゃんに会いたいな。