首元から吊った金のロッドを、ベアトリスが大切に握り締めた。


ジンにもサイラスにも、ベアトリスが握りしめたロッドがおじい様由縁のものであることがすぐに伝わった。


(それだな)


サイラスの黄緑色の目が鈍く光った。ベアトリスは出自についてどこまで話すべき迷った。


面白い話ではない。


伯爵であったおじい様は家族の反対を押し切り、道端に捨てられていたベアトリスを拾った。なんていう人間貴族で言えばビックリ話であるが、魔国では持って帰りたくなったんだなで済む話だろう。


おじい様はどこの生まれかもわからないベアトリスを正式に家に迎え入れた。


そしてなんと、家系にいる子どもの中で誰よりベアトリスを溺愛してしまったというオチだ。


血の繋がりなど、本当に些細なことなのだ。