「イジめても裸にしても封印しても泣かない君は、私に触れるとこんなに易々と泣くのかい?」

「泣いてませんわ!そ、そんな破廉恥なことをおっしゃらないで!」

「破廉恥!?そんな言葉、久々に聞いたな」



真っ赤な瞳を細めて、ジンは心底愉快に笑い声をあげた。


ベアトリスはからかわれているのがわかったが、綺麗過ぎて冷たく見えるジンの顔がくしゃと歪んだ笑顔は好ましく思った。



「人間は面白いな。いや、ベアトリス、君が特別変わってるのか」

「否定は致しませんわ。人間国では自信を持って、嫌われ者でした。

魔国でも絶賛、嫌われ者をやっております」

「ハハ!君は実に愉快だな。気に入ったよ」

「あ」


ジンはベアトリスの手を軽やかに握って夜の森を歩き始めた。

ベアトリスは冷たい手に連れ去られ、ジンと手を繋いで歩いて行く。アイニャは二人の後ろを意気揚々と歩いてついてきた。


ジンに触れられるとベアトリスは途端に目頭が熱くなってしまう。


「あの、魔王様、手をお放しください」

「君の言う仲良くをやってみようじゃないか」