ベアトリスがこの魔国で手に入れた暮らしは、幸せを毎日更新していく。


ベアトリスがすっかり「幸せの泣き虫」になったのは間違いなくジンのおかげだった。ベアトリスが幸せで泣けば泣くほど、涙の小瓶に涙が溜まっていく。


涙の小瓶が増えるほど、治癒を求める魔国民へと涙が行きわたる。


王妃の幸せの涙は、魔国民をも幸せに導くのだ。


ジンがベアトリス首筋にキスをして、クスクス思い出し笑いをした。


「人間国には帰りません!と言い切った君も懐かしいね」

「一人で強がってましたわね」


ベアトリスもあの頃の周りはみんな敵!の己のツンツン具合を思い出すと笑ってしまう。ベアトリスの顎を冷たい指先で促したジンは、うっとりと視線を絡ませた。



「あれはあれで可愛かったよ。意地悪したくなるくらいにね」

「そうでしたか?ジン様を誘惑してしまうくらい……


いつでも可愛くて、ごめんあそばせ?」