気だるい体をなんとか持ち上げて、ベアトリスは朝日が差し込む窓を見つめた。生まれ直したかのような心地がした。


一糸纏わぬ裸でベッドに座り込むと、ジンが背中から優しく抱きしめてくれる。


「おはよう、奥様」

「おはようございます……ジン様」


昨夜何度も呼ばされた魔王様のお名前をはにかんで呼べば、ジンが心から幸せに満ちた微笑を浮かべた。


ジンの素肌に抱きしめられて、ベアトリスは窓から青い空を眺める。すると、またベアトリスの瞳から涙がこぼれた。


「幸せで、幸せで、すぐに泣いてしまいます」


ベアトリスの涙を一つ舐めとったジンが幸せで泣いてしまう可愛い顔をまじまじ見つめた。


「結婚式で絶対に泣きませんと言っていた君が、今ではもうすっかり泣き虫だ」

「ジン様のせいですわ」


昨夜はジンに愛され過ぎて、恥ずかしくて泣きまくった。夜が明けてもジンはベアトリスを離さず、抱きしめて幸せに溺れさせて泣かせにくる。



「君を泣かせていいのは、私だけだからね」