ベアトリスが大好きなお風呂に入って美しさに磨きをかけた。湯上りのベアトリスがジンの私室のベッドに座り髪を拭く。


カオスを退治してからジンはベアトリスを部屋に呼び寄せ、一緒の部屋で暮らすようになった。

一緒に眠り、朝を迎え、身体を寄り添わせるだけの健全な日々だ。


「魔王様?」


ジンはカオスを退治したあの日にした、一晩中のキスが忘れられなかった。


無礼講だからと許したあの日のキスに、恥ずかしさのあまりぼろぼろ泣いたベアトリスの泣き顔をもう一度見たいと考え続けている。


「ものすごく見られていますわ。私の身体に何かおかしいところがありましたか?」

「いや、君はいつも完全に美しいよ、ベアトリス」

「まあ、ありがとうございます」

「ますます輝きがかかっていって、眩しいくらいだ」


ベアトリスは肩にぷるんを乗せて髪を拭いて、ジンの愛語に柔らかく笑う。近頃のベアトリスの笑顔は一層明るさを増して華やかになった。


魔国民の誰もが強さを示した彼女を受け入れ、エリアーナという新しい友と過ごし、魔王様の寵愛を得ている。彼女の魔国での居場所は盤石だ。



そんな安定を得て幸せに満ちる瞬間が増えたのか、彼女は愛を体現するかのように朗らかに笑う。

ますます魅力的に微笑む幼い妻に、超年上旦那様である魔王は我慢我慢を強いられていた。