アイニャの食糧問題は、意外な方面からあっさりと解決してしまった。


「アイニャ、あなたってすごいわ!そして助かるわ!」


野生の本能を開花させたアイニャは、石造りの牢獄小部屋の周辺で狩りを敢行し強く生き始めたのだ。


小汚くてどうしても出る虫やネズミをアイニャが一掃してくれる。アイニャは本当に頼もしかった。


「あれ?アイニャ、また狩りに行くの?」

「ニャ」


アイニャは得意げににんまりした顔で挨拶をしてから、さっと部屋を出て行った。ベアトリスは元気なアイニャに嬉しくなって顔をほころばせる。


ベアトリスは初代魔王様の加護のおかげで、誰からも物理的な襲撃を受けることなく暮らせていた。


皆の前でイノシシ嬢三人組を言い負かしたように、あまりにしつこく罵声を浴びせてくる連中には正々堂々の口喧嘩を仕掛けて回った。


口では勝てないと思ってもらえたようで、小うるさい連中は黙るようになっている。


(魔国民って実はあまり賢くないのかもしれないわ)