「初代魔王様、私にどうか加護を」


ベアトリスが左手を右手で包み込んで、強く祈る。


「私に、愛するものを守るための力を、どうか貸してください」


ベアトリスが心の底から加護を望むと、古臭い指輪が光り出した。


「キャッ!」


あまりに眩しい青い光にベアトリスは目を開けていられなかった。しばらくして光がおさまり、ベアトリスがゆっくり目を開ける。


「な、何ごとでしょうか?」


「ぷるる!」


聞き慣れない声にベアトリスが下を向く。すると地面には、丸くて薄青いぷるぷるした生物が出現していた。手の平サイズだ。


「ぷるる!」


ぷるんぷるんしているその薄青い生物の形状は、ベアトリスが講義で習った「スライム」という魔生物に似ていた。


ジンがやってきて、ぷるんぷるんの前に膝をついた。真っ赤な瞳がぷるんぷるんをじっくり観察する。


「魔王様、これは?」

「おそらく加護の具現だね。危険な感じはない」

「ぷるる!」