連日、パクパクに食べられては、魔王様にもみほぐされて泣かされるベアトリスは、アイニャに会いに来た。昼からはまたパクパクの餌になる予定だ。


「あれ?誰が花を手向けてくれたのかしら」


良く晴れた空の下で、アイニャの可愛らしい墓にはすでに花が供えられていた。


「誰かわかりませんが、ありがとうございます。良かったわね、アイニャ」


ベアトリスはアイニャの墓を撫でて、墓の前に膝を抱えて座った。


(今日は、魔王様のツノに盗聴されないように一切喋りませんわ)


アイニャに会いに来ると弱音が零れて止まらないので、ベアトリスは口を塞ぐ。心の中だけでアイニャに語り掛けた。



(アイニャ、私、魔国の王妃になるのよ。

でもね、王妃は強くなくてはいけないの。私は魔王様が望む王妃になれるかしら)



パクンに食べられてはぎゃあぎゃあ騒いでいるベアトリスは、初代魔王様の加護に守られているだけで進歩がない。


サイラスは加護を使えと言うだけで具体的には何も教えてくれないのだ。



(加護を使うってどういう意味なのかしら)