ベアトリスは学んだことを紙に書きこみ、学習した。魔族風に言えば、ベアトリスは一人で生きてきた代わりに口喧嘩で勝つための勤勉さと、物怖じしない度胸が育った。



「質問は以上か?」

「はい、今日もありがとうございました。サイラス様」



サイラスは挨拶もせずに、執務椅子をぴょんと飛び降りて部屋を出て行った。


(サイラス様は素っ気ないけれど、素晴らしい先生だわ)


魔国の文字すら知らなかったベアトリスに、サイラスは吐きそうな顔をした。だが。お前のことは細胞だと思っていると前置きしてから一から教えてくれた。


賢者サイラスの名はダテではなく、彼は脳みそが小さくてもわかる授業を重ねた。


あのエリアーナを封印術の名手にまで育てた師匠だ。もとより勉強が好きなベアトリスを教えるのは容易かった。