天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 ゴンさんにも『すぐどぎまぎする』と言われたし、もうちょっと恥じらったほうが自然だったのかもしれない。私にそんな乙女な演技はできる気がしないが。

 いたたまれなくて目を逸らす私に、城戸さんは昔と同じ甘い笑みを向ける。

「普段わりとさっぱりしてるのにそういう反応するから、可愛いなと思ってたんだよ」

 一瞬、恋をしていた頃の自分に戻ったような感覚に陥った。顔が熱くなるのを感じるも、同時に心の中でブレーキがかかる。

 この人の甘い蜜は単純に受け取っちゃいけないんだってば。その蜜に溺れないためにも暁月さんと夫婦になるのだし。

 自分の気持ちもあの頃とは違うのだという意味も込めて、「……私も変わったんですよ」と呟いた。

 ひとつ息を吸って頭を切り替え、きりりとした面持ちで言う。

「とにかく、私たちの関係は本当です。来週以降になれば納得していただけるかと」
「なんで来週?」
「黙っておとなしく待っていてください」
「……ちょっとSみのある莉真ちゃんもそそられるかも」

 真面目な顔でふざける城戸さんは相変わらず軽くて、呆れ気味でデスクに向かった。

 私の両親に電話したら、予想通り大喜びで賛成してくれた。暁月さんのお父様にも挨拶をしてOKがもらえれば、私たちは本当に入籍する。そうすれば城戸さんもさすがに認めてくれるだろう。