天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

「あの、迷惑じゃなければ聞いてもいいですか? さっきの続き」

 なにを言おうとしたのかが気になるので蒸し返してみると、彼はどことなく含みのある笑みを浮かべて口を開く。

「俺は、結婚はするもんじゃないと思ってるよ」

 表情とは裏腹に冷めたひと言が放たれ、私は目を見張った。

「え……どうして? 彼女はいないんですか?」
「いないし、いらないね」
「はっ、もしや特定の人を作らないタイプ?」
「まさか。パイロットっていう肩書きだけで寄ってくる女性を相手にしても、得られるのは一時の快楽くらいだ。時間の無駄だよ」

 微笑んでいるのに発言はわりときつくて、私は無意識に若干身を引く。

 この人、意外にも腹黒い? 仕事中はすごく紳士的だし、今日いろいろと話してみても穏やかで物腰の柔らかい人だなという印象だったけれど、今はまた違った一面をかいま見た感じ。

 でも、やっぱり数多の女性が寄ってくるのは確かなのね……と、呆気に取られる私に、相良さんが問いかける。

「降旗さんは結婚したい?」

 急に矛先がこちらに向き、とりあえず正直に答える。