天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

 ふたりの親子関係が少し柔らかくなってきたように感じていると、お義父様がさらに続ける。

「ついでに〝らしいこと〟を言わせてもらうと、暁月と莉真さんは公私ともに強い信頼関係が築けているんだとわかったよ。今回の件と、昨日のHA479便のトラブルで」

 キョトンとする私たちに、彼は「偶然私の知り合いが乗っていたらしい」と説明する。

「しばらく空中待機したこと以外、なにも異変は感じなかったそうだ。まさか無線が故障していたとは思わなかっただろう。それだけ、君たちのおかげで通常通りに飛べていたということだ。信頼し合っていなければ、なかなか難しい」

 それは、昨日の対処をした私たちにとって最高の褒め言葉だと思う。乗客を不安にさせることなく目的地に送り届けてこそ、責務を果たしたと言えるのだから。

 お義父様は私と城戸さんを交互に見やり、わずかに口角を上げる。

「暁月の言った通り、ふたりともなくてはならない人材だな。いつもありがとう」

 思いがけず感謝され、私たちは目を合わせた後、口元をほころばせて頭を下げた。