彼は私たちと同業者だったのか。立場は完全にお義父様のほうが上だし、今回の件で江口さん自身の人事に影響が出る可能性もなくはないと思うと恐ろしい……。
次々と明らかになる彼の素性に驚くけれど、やはり一番の謎について聞かずにはいられない。
「あの、どうしてあんなことを? 失礼ですが、望さんと江口さんに対して恨みを買うようなことをした覚えがないので……」
正直に言うと、江口さんより先に望さんが呆れた笑い交じりに答える。
「この人ね、私が好きなのは拓ちゃんだと思い込んでいたんですって。それで、嫉妬から拓ちゃんを陥れようとしたの」
江口さんは望さんの好きな人は自分じゃないと気づいていて、さらにその相手を誤解していたのか。確かに望さんは城戸さんとも仲がいいし、暁月さんとの間にあった噂を知らなければ無理もないかも。
「一年も婚約者としてやってきたのに、なんにもわかってなかったのよね。私も、彼にこんな一面があるなんて知らなかった。お互いに上辺しか見ようとしていなかったのよ。……ほんと、笑っちゃうわ」
自嘲気味に笑った望さんは、どこか寂しそうにまつ毛を伏せた。すると、江口さんの暗い瞳が私に向けられてぎくりとする。
次々と明らかになる彼の素性に驚くけれど、やはり一番の謎について聞かずにはいられない。
「あの、どうしてあんなことを? 失礼ですが、望さんと江口さんに対して恨みを買うようなことをした覚えがないので……」
正直に言うと、江口さんより先に望さんが呆れた笑い交じりに答える。
「この人ね、私が好きなのは拓ちゃんだと思い込んでいたんですって。それで、嫉妬から拓ちゃんを陥れようとしたの」
江口さんは望さんの好きな人は自分じゃないと気づいていて、さらにその相手を誤解していたのか。確かに望さんは城戸さんとも仲がいいし、暁月さんとの間にあった噂を知らなければ無理もないかも。
「一年も婚約者としてやってきたのに、なんにもわかってなかったのよね。私も、彼にこんな一面があるなんて知らなかった。お互いに上辺しか見ようとしていなかったのよ。……ほんと、笑っちゃうわ」
自嘲気味に笑った望さんは、どこか寂しそうにまつ毛を伏せた。すると、江口さんの暗い瞳が私に向けられてぎくりとする。



