天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

「もしもし、ゴンさん?」
《おー降旗! 元気でやってるか? 俺もそろそろ連絡しようと思ってたんだよ。あ、もう〝降旗〟じゃなかったわ》
「あだ名としてそのまま呼んでください。職場でも旧姓だし」

 懐かしい声が聞こえてきた瞬間に元気がチャージされたような気分で、自然にあははと笑えた。

 こうして話すのは、松本の皆でリモートをした時以来だ。やっぱりゴンさんは親戚のおじちゃんみたいな安心感があって、話すと落ち着く。

《で、どうした? 俺に電話かけてくるくらいだから、なにかあったんだろ》
「ゴンさんのドスの効いた声が聞きたくなっただけですよ」
《……それはキュンとさせようとしてるのか?》

 彼の返しにひとしきり笑った後、雑談を交えて新千歳の情報官の現状を聞き出した。

 人が足りていないのは本当で、ゴンさんもなかなか忙しいシフトになっているらしい。『誰か即戦力になれるやつが来てほしいわ』とこぼしていたけれど、私がその候補になるかも……なんてことは言えない。

 結婚してしばらくは暁月さんと一緒に暮らせるものだと思っていた。その間に子供を産んで、ある程度手がかからなくなるまではこのままで、異動になるにしてもせめて近い場所にしてもらえたら、というのが本音だった。