「離婚しろとまでは言わない。だが暁月のためを思うなら、ほとぼりが冷めるまで離れるのがいいんじゃないか? ちょうど新千歳で人が足りていないようだしな」

 離婚という単語が、ずしりと重くのしかかる。

 今のセリフは〝離婚しない代わりに新千歳へ異動しなさい〟と言っているようなものだ。直接的に異動しろと命令しないところが、お義父様の要領のよさを感じる。

 彼を説得させられるような言葉が今は見つからず、結局一週間後に結論を出すという形で話を終えた。

 暁月さんのために離れたほうがいい? 本当にそうなんだろうか。他の方法でこの件を解決させられないか、私はひたすら頭を悩ませていた。


 翌日も浮かない気持ちで出勤すると、城戸さんと会った途端人目につかないスペースへ連れていかれ、深く頭を下げられた。

「莉真ちゃん、迷惑かけて本当にごめん。俺が一方的にしたことで、莉真ちゃんはなにも悪くないって言ってるんだけど」

「いえ……! 仕事中ならともかくプライベートのことですし、あの写真を送った人が問題だと思います」

「俺も、今回の程度で処分を受けるのは不当だって抗議してる。誰がなんの目的でこんなことをしてるのか、突き止められたらいいんだけどね」