天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む


 翌日、スタンバイだった俺は空港で待機することにし、昼休憩の時間に父を呼び出した。

 今週、彼は会議で東京空港事務所に度々出向いているそうなのでちょうどよかった。莉真もいつも通り出勤しており、俺が今日父と会おうとしていることは知らない。

 人に話を聞かれてはいけないため、空港内のコワーキングスペースを利用する。ふたりで利用できる個室を選び、小さなデスクに向かい合って座った。

 滑走路を走る飛行機が眺められる窓を背にした父に、単刀直入に切り出す。

「莉真が急に新千歳へ行くと言い出したんだ。この異動話には父さんが関わっているのか?」

 人事部長である父なら知らないわけがないだろう。今こうして会っているのは、きちんとした理由を説明してもらうためだ。

 父は俺がアポを取ってくるのをある程度予想していたのか、ひとつ息を吐いて「これから話すのは、人事部長としてじゃなく家族としてだからな」と念を押した。

 バッグからタブレットを取り出した彼は、なにかの画像を開いてこちらにディスプレイを向ける。

「私の元に匿名でこれが送られてきた」

 そこに映し出された写真を見て瞠目した。