天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む

「できることならずっとそばにいたいですよ。でも、私の仕事はそうもいかない。いつか離れる時が来るって、最初からわかりきっていたことです。そのタイミングが来たなら、覚悟しないと」

 大きな瞳がうっすら潤むものの、意を決した面持ちに変わっていく。そしておもむろに腰を上げた彼女は、俺のそばへ来てふわりと肩に腕を回した。

「大丈夫。距離が離れても、私たちならきっと大丈夫です。どこにいても夫婦であることに変わりないし、私はずっと暁月さんだけを想っているから」

 俺だけでなく自分自身に言い聞かせるような、しなやかな声が耳元で響く。ささくれ立った心が、一時だけ撫でられたかのごとく穏やかにさせられる。

「暁月さんもそうでしょう?」
「……もちろん。ずっと君だけを愛してる」

 俺も柔らかな身体に手を回し、しっかりと抱きしめ合った。

 離れても想いは変わらないと断言できるし、莉真のことも信じている。だが、今回の件については背景になにかが隠されている気がしてならない。納得できないまま諦めるのは御免だ。

 俺は愛しいぬくもりを抱きしめながら、おそらく鍵を握っているであろう人物に会おうと心に決めていた。